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第6回公開セミナー 社会調査の2次分析シリーズ

内容紹介


第1回「共分散構造分析の基礎と実際:基礎編」

第2回「共分散構造分析の基礎と実際:応用編」
狩野 裕 講師 (大阪大学人間学部)
日時 ● 2002年11月11日(月)15:30-17:30

 共分散構造分析(構造方程式モデリング,SEM)は,心理学や社会学を含む社会科学の分野でスタンダードに使われる分析方法となった.その理由は,SEMの理論整備が進んだこと,使いやすいソフトウェアが普及したこと,適用事例が増加したこと,SEMの効用が明確になってきたことである.

 基礎編では,まず,SEMの基本モデルであるパス解析モデル,(検証的)因子分析モデル,多重指標モデルを学習する.これらのモデルを用いて分析する価値,すなわち「なぜSEMが必要なのか」を学ぶ.

 応用編では,主にSEMによる因果推論の基礎を講述する.具体的には,SEMによる因果推論のロジック,観察研究の弱点,統計的な因果とは何か,因果推論における基本的問題などについて議論する.

 受講者の中には共分散構造分析に関する疑問・質問をお持ちの方も多いと思う.もし,事前に狩野までメイル(kano@hus.osaka-u.ac.jp)で連絡をいただければ,十分準備をしてセミナーの中で回答することができます.(もちろん,当日質問して頂いても結構です.)

資料 第1回基礎編(PDF 393kb) 第2回応用編(PDF 187kb)
                      不適解EFAの時代からの厄介者(PDF 73kb)

第3回「日本のマイクロデータを用いた引退期所得政策の国際比較分析:
     Luxembourg Income Study、OECD Income Distribution Dataとの比較可能性」
山田 篤裕 講師(慶応義塾大学経済学部)
日時 ● 2002年11月18日(月)13:00-15:00

近年、所得格差や低所得の動向を評価する際に、国際比較において我が国の位置がどのようなものであるかについて関心が集まっています。しかしながら、国際比較の際には、データの取り扱いや解釈の方法など、さまざまな注意が必要です。本セミナーでは、
  1. 「完全所得」とはなにかといった概念の定義から出発し、
  2. 所得格差や低所得を実際に計測する際に発生するさまざまな問題、
  3. 各国データの比較可能性、
  4. 所得格差指標を分解するにはどのような方法があるのか、
  5. 国際比較可能なデータにはどのようなものがあるのか、
  6. 各国データを用いた近年における具体的な国際比較研究(引退期所得政策の国際比較研究など)

の成果について、解説・紹介します。

資料 (PDF 471kb)

第4回「移動表の分析:SAS、SPSSを用いたログリニア分析」
平田 周一 講師 (日本労働研究機構)
日時 ● 2002年11月25日(月)13:00-15:00

  社会科学の分野では、性、職業、産業など数値化できないカテゴリー変数がたくさんあります。しかし、カテゴリー変数を扱う統計手法はカイ二乗検定等、限られたものしかありませんでした。本セミナーで紹介するログリニア分析法は、カテゴリー変数を扱う統計手法として開発され、従来のカイ二乗検定の限界を大きく超えるものです。日本では適切なテキストもなく、これまでは、社会学の一部の分野でしか用いられてきませんでした。本セミナーでは、ログリニア分析法について簡単に紹介するとともに、もっとも多く使われている統計パッケージ、SAS、SPSSを用いた実例を紹介します。
資料(PDF85kb)

第5回「雇用政策評価へのサバイバル分析の活用」
大日 康史 講師 (大阪大学社会経済研究所)
日時 ● 2002年11月29日(金)13:00-15:00

 サバイバル分析は従来、医学における研究に用いられてきた。この手法は、原則的には不可逆的な状態の変化(例えば、生存から死亡)の分析に適しており、状態間変化が生じるまでの期間(この例だと生存期間)やあるいはある時点での状態間変化の生じる確率(この場合だと死亡確率))に影響を及ぼす諸要因についての分析を行うことができる。近年では経済現象、特に雇用政策の評価にしばしば用いられている。具体的には、失業期間に対する失業給付のあり方、あるいは、企業の誕生(新規開業)から廃業までの期間に及ぼす借り入れの影響、といったテーマに盛んに用いられている。本セミナーでは、サバイバル分析の簡単な紹介、それを用いた分析例の紹介、また、サバイバル分析の限界とそれへの対応について紹介します。

資料(PDF34kb)セミナー後の更新版。参考文献付き。

第6回「マイクロデータを用いた構造推定アプローチによる政策評価」
有村 俊秀 講師 (上智大学経済学部)
日時 ● 2002年12月9日(月)13:00-15:00

 本セミナーでは、マイクロデータを用いた構造推定アプローチによる政策評価を紹介します。様々な政策の効果は、しばしば個人や企業の持つ将来予測に依存します。構造推定アプローチは、この将来予測を明示的に扱い、政策評価を行おうというものです。まず、個人や企業が将来に渡る意思決定を行う場合、動学的最適化モデルを解いていると仮定し、実際の個人や企業の行動から構造パラメーターを推計します。そして、推計された最適化モデルを用いて、政策実験及びその政策評価を行えるのが、このアプローチの魅力です。コンピューターと数値解析法の発展により、この手法は普及しつつあります。労働経済学、産業組織、環境政策等からの事例を紹介する予定です。
資料(PDF202kb)

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