「因子分析と共分散構造分析」 狩野 裕


因子分析を実行すると「共通性が1を超えました」「反復が収束しません」などというメッセージが出ることがある.親切にも「出力結果は信頼できません」というウォーニングが付加されることもある.推定方法には,主成分法,主因子法,最小2乗法などたくさんあるが,このような分析の異常性が最も頻繁に報告されるのが最尤法(ML)である. 分析がうまく行かないとき(異常性が示されるとき),その原因を切り分けすることが重要である.そのプロセスが,モデルの適切性の吟味,つまり,モデル診断に貴重な情報をもたらす.この意味で,演者は「これらのメッセージがしばしば出ることは良いことである」という立場に立つ. 本講演では,いくつかの例題を通して異常性の原因を明らかにし,対処法としての検証的因子分析(共分散構造分析)を紹介する.


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