「続 因子分析と共分散構造分析」
吉田光雄 & 狩野 裕


                      行動工学セミナー(公開)のご案内

                       続 因子分析と共分散構造分析
               ----  『共通性>1』はどの程度深刻か  ----


                                                                行動工学講座

 過日の行動談話会で、狩野先生から、因子分析に関して、心理学の者が日頃見過ご
していることに関して、重大な指摘がありました。
 つまり、これまで主流として使われて来た、主成分分析や主因子法に関して、その
問題点が指摘され、今後は最尤法(ML, Maximum Likelihood Method)が望ましい、
とのことでした。
 当日は何気なく聞き過ごしましたが、後日、自分のデータを処理して見て、ことの
重大さに気付きました。先生は、21世紀には因子分析の方法が変わる、と控え目にお
っしゃいましたが、もうすぐそこまで来ているようにも思います。
 行動工学セミナーとして、もう少し続きの話をして頂き、更に理解を深めたいと思
います。講座外のどなたでも大歓迎ですので、もし、今後因子分析をしてデータ処理
し、論文を発表しようとしている方、例えば院生の皆さんなど、ご参加下さるよう、
ご案内いたします。

        日時: 12 月 4 日(木)、4:00 〜 5:00
        場所: 213 室(本館 2 階)

        内容:

        1.問題点の整理、データの例示                            吉田 光雄

 [データ1] 人間科学部のクラスで採った(豊中、人科1年生、心理学測定受講者
)、”こどものしつけ”に関するデータを処理してみたが、PCAと主因子法では、普
通に解け、内容も素直に考察し、納得できるものであったが、2項目のみに負荷の高
い因子があり、反復主因子法、ML法では communality が1を超えるとして、解けな
かった。
 こういうとき、解いてはいけないのか、2項目というのが、きつい仮定(現実のデ
ータでは十分ありうる)なのか、疑問であり、共通因子の概念を変更しなければなら
ない。

 [データ2] SD法で歌の印象評価を行ったデータを因子分析したところ、主因子法
で自動的に因子数 m=4 として解けたが、ML法では更に多い因子数を示唆している。
因子数を決める規準として chi-square, AIC など、どれを用いればよいか。

 さらに、そもそもML法とは何か。「項目数 q=2 の因子」の不適解が出たとき、そ
の取扱いをどうすればよいのか。項目数が少ないとき、q=2 の不適解がどうしても出
るのではないか。また、不適解であることの、数学的証明(なぜ解けないのか。解く
過程で q > 2 を使うのか。少しの工夫で解けないか(ridge 重回帰))。共通因子の
仮定の変更(従来は q=1 しか言われていない)など、話題は尽きません。これらの
問題、さらに発展した問題に関して、狩野先生にコメントして頂きます。


        2. コメント、解説                                         狩野 裕

1.上記の2組のデータ分析に対するコメント
2.最尤法とは
3.モデルの比較とモデルの適合度
4.主成分分析 versus 因子分析



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