統計的漸近理論に関する仕事


★ 超高次漸近理論について([27][28][32][34])

このテーマはかなり数学的である.推定の方法はたくさんあり,その中には使うべき ではないという悪い方法もある.推定方法の良し悪しは標準誤差の大きさで測ること ができる.つまり,標準誤差が小さければ良い推定量となる.通常,標準誤差といっ ているものは,推定量の平均2乗誤差の $\frac1n$ の項であり,より高次 $\frac1{\sqrt{n}^{k+1}}$ $(k\ge2)$ の項は無視されている.ある推定量のクラスの 中で $\frac1n$ の項を最小にするものを1次漸近有効(k=1)といい, $\frac1{\sqrt{n}^{k+1}}$ の項を最小にするものを $k$ 次漸近有効という.私が得 た主要な結果は,ある種の調整の下で最尤推定量が4次と5次の漸近有効性を有する ということを証明したことである([32]). [28] は Fisher 情報量を有効性の基準にとった.[34] では, 集中確率での有効性を 議論している. また,[27],Third-order efficiency implies fourth-order efficiency という予想について肯定的に解決した.

★ Hotelling's T^2 統計量の漸近展開 ([26])

[26] では,非正規母集団における Hotelling の $T^2$ 統計量の近似分布を漸近展開 により導出した.非正規母集団の下では,多変量統計量の分布の導出には膨大な計算 量を必要とし不可能に近い.この論文では,vec-operator や Commutation matrices を使い計算量を減らすことに成功した. [もどる]