確率統計は,不確実な現象を数学的に記述する学問であり,工学,医学,経済学,心理学など,様々な分野に応用されています. |
確率過程とは,時間とともに確率的に変化する様子を表す数学モデルであり,株価や待ち行列の変動などの現象を表すとき確率過程が用いられます.確率過程にはポアソン過程やブラウン運動といったものがあります. |
近年の金融・保険ビジネスの背後では,現代確率論・統計学を駆使した数学の世界が広がっています.例えば,金融派生商品の価格付けに用いられる有名な公式,ブラック=ショールズ公式などはブラウン運動といった確率過程や確率微分方程式の理論を基礎にして導出されますし,保険数理では,複合ポアソン過程やレヴィ過程などを基礎とし,マルチンゲール理論などが標準的な道具として応用され得ます.通常,これらの数理モデルは,データの振る舞いを決める多くの未知パラメータを持っていますが,これらの値を知ることことなしに,実務へのモデルの応用はあり得ません.そこで,最後にはどうしても統計学が必要となります.仮定したモデルが,実際のデータと整合的になるように,統計的にパラメータを決定(推定)して,それをモデルに代入することで,数理モデルは初めて実用としての意味を持ちます. |