確率・統計

   

 

 確率統計は,不確実な現象を数学的に記述する学問であり,工学,医学,経済学,心理学など,様々な分野に応用されています.

当研究室では,測度論に基づいた確率論や数理統計学の理論を用いて,主に数理ファイナンス,保険数理に対する研究を行っています.その中で重要になるキーワードとして,例えば確率論では,確率解析,確率過程などがあり,数理統計学なら,推定や検定論,漸近理論などが挙げられます.これらを融合し,様々な現象に対する解析を行うことが我々の目的です.

 様々な既存の理論を理解することはもちろん,独自の理論を構築し,実験やデータ解析によってそれらを検証するなど,研究には自主性が求められます.そのためには基礎的な理論の内容理解が必要不可欠です.学部生の方で当研究室に興味がある方は,基礎的な数学(特に解析学や線形代数,集合論から測度論など)をしっかり理解しておくことをお勧めします.以下に代表的な参考書,また我々がセミナーで実際に輪読した教科書を挙げておきますので参考にしてください.

 測度論
  「ルベーグ積分入門」伊藤清三(著),裳華房
  「測度と積分」M.ツァピンスキ・E.コップ(著),二宮祥一・原啓介(訳),培風館

 確率論
  「確率論」舟木直久(著),朝倉書店
  「ルベーグ積分から確率論」志賀徳造(著),共立出版

 数理統計学
  「数理統計学の基礎」野田一雄,宮岡悦良(著),共立出版
  「Introduction to Statistical Limit Theory」A.M.Polansky(著),CRC Press

 セミナー実績
  「A course in large sample theory」T.S. Ferguson(著), CRC Press
  「Probability , Theory and Examples」R. Durrett(著),Cambridge University Press
  「数理統計学」吉田朋広(著),朝倉書店
  「確率過程の基礎」R.デュレット(著),今野紀雄 他(訳),シュプリンガージャパン
  「数理統計・時系列・金融工学」谷口正信(著),朝倉書店







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確率過程・データ解析


  
 

 確率過程とは,時間とともに確率的に変化する様子を表す数学モデルであり,株価や待ち行列の変動などの現象を表すとき確率過程が用いられます.確率過程にはポアソン過程やブラウン運動といったものがあります.

 当研究室では,主に確率微分方程式で表わされる確率過程に対する統計手法を研究しています.測度論に基づいた確率論の知識は,大学院での研究には必要不可欠です.

 データ解析とは,確率と統計学の知識を用いて,データに基づいて物事を分析,理解する手法です.近年,情報技術の発展に伴い,大規模データに対する解析が可能となっています.例えば,金融,マーケティング,医療といった分野で用いることができます.

 当研究室では,Rというフリーソフトウェアを用いてデータ解析を行います.Rは統計,グラフィックス,統計プログラミングのための強力なツールで,本格的な統計分析が行えます.Rなどの統計処理ソフトで,実際のデータを用いてデータ解析を体験することをお勧めします.Rはインターネットから無料で入手することができます.
   参考URL: http://www.r-project.org/ (Rプロジェクトのページ)

 確率過程
  「確率過程の基礎」 R.デュレット (著),今野紀雄,中村和敬,曽雌隆洋,馬霞 (訳),Springer
  「確率過程入門」 西尾眞喜子,樋口保成 (著),培風館
  「確率微分方程式」 B.エクセンダール (著),谷口説男 (訳),Springer
  「確率微分方程式」 長井英生 (著),共立出版

 データ解析
  「Rで学ぶデータマイニング I,II」 熊谷悦生,舟尾暢男 (著),九天社
  「The R Tips」 舟尾暢男 (著),九天社
  「Rによる統計データ分析入門」 小暮厚之,朝倉書店








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金融・保険数理統計

 

 近年の金融・保険ビジネスの背後では,現代確率論・統計学を駆使した数学の世界が広がっています.例えば,金融派生商品の価格付けに用いられる有名な公式,ブラック=ショールズ公式などはブラウン運動といった確率過程や確率微分方程式の理論を基礎にして導出されますし,保険数理では,複合ポアソン過程やレヴィ過程などを基礎とし,マルチンゲール理論などが標準的な道具として応用され得ます.通常,これらの数理モデルは,データの振る舞いを決める多くの未知パラメータを持っていますが,これらの値を知ることことなしに,実務へのモデルの応用はあり得ません.そこで,最後にはどうしても統計学が必要となります.仮定したモデルが,実際のデータと整合的になるように,統計的にパラメータを決定(推定)して,それをモデルに代入することで,数理モデルは初めて実用としての意味を持ちます.

 当研究室では,金融・保険数理統計の現代的理論の基礎から,それらを実務へ応用するための統計解析の習得までを一つの一貫したプロセスとしてとらえ,幅広い教育と,研究の機会を与えています.例えば,3,4年生のゼミナールでは,以下のような本を輪読することにより,大学院進学後スムーズに自分の興味ある分野の勉強に移ることができるように,ファイナンスや保険,数理統計の基礎知識を学習してもらっています(下記は候補の一部です).

 金融数理統計
 「金融市場の高頻度データ分析」林高樹・佐藤彰洋(著),朝倉書店
  「ファイナンスへの確率解析入門」 藤田岳彦(著),講談社
  「ファイナンスへの確率解析」 D.ラムベルトン・B.ラペール(著),朝倉書店

 保険数理統計
  「保険数理と統計的方法」 清水泰隆(著),共立出版
  「リスクセオリーの基礎」 岩沢宏和(著),培風館
  「損害保険数理」 T.ミコシュ(著),山岸義一(訳),Springer
  「生命保険数理への確率論的アプローチ」 黒田耕嗣・松山直樹(著),培風館

 確率・統計
  「確率論」 舟木直久(著),朝倉書店
  「統計解析入門」 赤平昌文(著),森北出版
  「数理統計学」 吉田朋広(著),朝倉書店
  「数理統計・時系列・金融工学」 谷口正信(著),朝倉書店

 大学院では皆さんの興味に即して,それぞれの方向でさらに発展的な専門書を輪読したり,独自のアイデアに基づく研究へと発展させていきます.皆さんの積極性に大いに期待します!







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