注意:8/29(火)の講義は 3限~5限で行われます.

データ科学特論 I

はじめに

理工系,生命系,経済・社会系等,多くの学問分野で実証研究が行われている.修士論文や博士論文においても適切なデータ解析が求められる.データ採取の方法や実験・調査のデザインは個々の学問分野や研究対象に依拠することも多いが,データ解析の方法とそのための基本的な考え方には普遍性がある.

本講義では,実質科学においてデータ解析を研究の道具として実際に使う学生を対象に,具体的な分析の手順・方法とそれらの数理的基礎,そしてそれらを適用する際の注意事項等を講述する.統計学から見たデータの採取方法を理解すること,及び,分析技法の正しい理解の下でデータを適切に解析できることを目的とする.

講義基本情報

科目名称データ科学特論 I
単位数2
担当教員狩野 裕,内田雅之(世話教員)
開講学期夏学期(2017年8月24日(木)~8月29日(火) 集中,土曜あり)
会場大阪大学 基礎工学研究科 B棟3F B300
豊中キャンパス,基礎工学B棟3F B300へのアクセスマップ
受講要件学部2年次レベルの統計学を履修または自習した者
単位認定出席とクラス内活動,レポート課題により総合評価

履修方法

  • 大阪大学の大学院生
    • KOANから履修登録をしてください.
    • 履修登録期間:4月3日~4月28日,6月12日~6月16日(夏学期科目登録)
      (基礎工学研究科の登録期間.所属部局の登録期間はこれより短いことがあります)
     
  • 大阪府立大学 大学院工学研究科の大学院生
    • 部局間協定により,特別聴講学生として受け入れます.当該授業科目を履修し考査に合格したときに,所定の単位が与えられ,必要に応じて成績証明書が交付されます.単位互換については,所属大学にお問い合わせください.
    • 受講申請先:大阪府立大学 教育推進課 教務グループ(A11棟)工学教務担当
    • 受講申請期間:上記教務担当にお問合せください.
     
  • 同志社大学 大学院文化情報学研究科の大学院生
    • 部局間協定により,特別聴講学生として受け入れます.当該授業科目を履修し考査に合格したときに,所定の単位が与えられ,必要に応じて成績証明書が交付されます.単位互換については,所属大学にお問い合わせください.
    • 受講申請先:同志社大学 文化情報学部 事務室
    • 受講申請期間:上記事務室にお問合せください.
     
  • 武庫川女子大学の大学院生
    • 部局間協定により,特別聴講学生として受け入れます.当該授業科目を履修し考査に合格したときに,所定の単位が与えられ,必要に応じて成績証明書が交付されます.単位互換については,所属大学にお問い合わせください.
    • 受講申請先:武庫川女子大学 **
    • 受講申請期間:上記教務担当にお問合せください.
     
  • 大学院科目等履修生として受講
    • 当該授業科目を履修し考査に合格したときに,所定の単位が与えられ必要に応じて成績証明書が交付されます.
    • 対象:大学を卒業した者.検定料:9,800円.入学料:28,200円.授業料:28,800円.願書受理期間:平成29年2月6~10日 9:00~11:30, 13:30~16:00.出願要項は「こちら (PDF)
    • 問合せ先:大阪大学 基礎工学研究科大学院係 (ki-daigakuin@office.osaka-u.ac.jp)(@は小文字に変換してください)
     
  • その他の受講希望者(公開講義)
    • 本講義は統計教育に係る教員や他大学大学院生,学部生等に公開しています.無料で受講できますが単位認定や修了証等はありません.なお受講人数に制限があります.
    • 公開講義申込: こちらのwebフォームから申し込んでください.(申し込みは終了しました)
    • 公開講義申込期間: 4月8日~4月30日
    • 受講可否: 5月31日までに連絡します.
     
  • 問合せ先
    中平(nakahira@sigmath.es.osaka-u.ac.jp)(@は半角文字に置換えてください)
    狩野(kano@sigmath.es.osaka-u.ac.jp)(@は半角文字に置換えてください)

講義計画と内容

日程 担当教員講義題目
講義内容
8/24(木)
2限~4限
(10:30-16:10)

服部 環(法政大学 現代福祉学部・人間社会研究科,教授)

認知能力検査(知能検査)の統計解析(3コマ)

この講義では,最初に項目反応理論(Item Response Theory)の基本的なモデルと多母集団解析を含む構造方程式モデリング(Structual Equation Modeling)の基礎について講義する.そして,項目反応モデルと構造方程式モデリングが認知能力検査(知能検査)の開発過程において利用された事例と検査得点の統計解析に使用された研究事例について紹介する.2つのモデルを使用するには専用のソフトウェアが必要となるので,いくつかのソフトウェアの使用方法を紹介する.

8/25(金)
3限~5限
(13:00-17:50)

森田 果(東北大学 法学研究科,教授)

法学(・計量経済学)における実証分析(3コマ) 参考URL

(社会)科学一般において因果推論は重要な手法である.特に,何らかの政策目的の実現を目指す公共政策(法学もここに含まれる)においては,特定の政策がどのような効果を社会に引き起こすのかを識別することが重要になってくる.本講義では,因果推論のアプローチのうち,Rubinのアイデアに基づくアプローチを紹介する.実験データにおけるランダム化比較対照実験だけでなく,観察データにおいてどのような形で因果効果の推定が行われるのかを,実例を交えながら紹介する.

8/26(土)
2限~4限
(10:30-16:10)

島田貴仁(科学警察研究所 犯罪予防研究室,室長)

犯罪研究におけるデータサイエンスの実際と課題(3コマ) 参考URL1 参考URL2

犯罪は被害者や社会に大きな悪影響を与えるため,その予防のためには刑事司法や社会政策による介入が求められるが,介入にはコストを要し,かつ国民の権利に直結するため,研究の実証性がとりわけ求められる。欧米の犯罪研究では計量犯罪学(quantitative criminology)という分野が確立し,犯罪被害の測定,加害・被害のリスク要因の同定,介入効果の検証といった方法論上の困難性に挑んでいる。  本講義では,上記の方法論上の困難性を述べた後,演者による日本の犯罪予防分野での研究例を紹介する。具体的には,①各種小地域集計データの統合による近隣コミュニティの犯罪統制機能の分析,②親密な関係者間暴力に関する被害調査と相談記録の計量テキスト分析,③フィールド実験による犯罪予防行動の促進である。また,犯罪オープンデータや犯罪予測といった最新動向についても取り上げる。

8/28(月)
2限~4限
(10:30-16:10)

芳賀麻誉美(大阪経済大学 経営学部,准教授)

マーケティングにおける実証研究の実際と課題 (3コマ)

さまざまな統計手法を学んでいたとしても、現実にビジネスの世界で縦横無尽にそれを使いこなし、マーケティング課題の解決につなげられる人材は多くない。
 本講義では、まず初めに、マーケティングにおける課題解決のための多変量解析、特に構造方程式モデリングの利用、というテーマで「課題のモデル化」に取り組む方法を解説する。その後、メーカーにおける製品設計場面での利用や、サービスの海外展開における国際比較調査など、様々な実務事例を紹介しつつ、構造方程式モデリングやベイジアンネットワークなどの活用とその課題について解説する。

8/29(火)
3限~5限
(13:00-17:50)

出口康夫 (京都大学 文学研究科,教授)

統計学の哲学と歴史:ビッグデータと臨床治験も視野に入れて(3コマ)

統計学とは,そもそも何なのか?なぜ,そもそも統計的手法を用いてデータを解析しなければならないのか?本講義では,こような「そもそも」論的な問いを立て,統計学や確率論のみならず数理科学一般の歴史を巨視的に振り返ることで,それらについて考えていきたい.また現在,隆盛を極めているビッグデータ解析についても,「それが科学全般のあり方にどのようなインパクトをもたらしうるか」という観点から検討を加える.さらに臨床治験にまつわる倫理的問題を取り上げ,統計的手法と倫理の「はざま」に時として発生する緊張関係についても目を向けてみたい.

事情により講義内容等を変更する可能性があります. なお,各講義時間は下記の通りです.

 2限 10:30-12:00
 3限 13:00-14:30
 4限 14:40-16:10
 5限 16:20-17:50